死ぬか天才か

ハグ林のだだ漏れ思考整理簿(予定)

風呂とロック

 

風呂

仕事帰りに銭湯に寄ろうと思い、お風呂グッズを車に放り込んでいる。でも帰路に着くと早く帰りたくなって(混んでるし…とか言って)スルーしてしまい、結局は何もない休日に行くことになる。

湯気の充満する浴場に躍り出て、種類はなんだっていいので人のいない風呂を目指してざぶんと身体を沈める。小さく「うー」と声を漏らす。たかがデカい風呂がなんと素晴らしいことか。おれたち心もからだも、血流に支配されているんだなあなんて思う。

露天風呂があれば最高だ。湯気バリアに護られながらやはり人の少ない場所へ向かう。からだ半分を出して何か人生を振り返る。水面を湯気が走っていくのをぼんやり見ている。自律神経が蘇っていく。

時間が許すならばサウナに10分入る。身体を動かしていないのに汗をかくなんて、何かずっこい気もしてくる。大きな銭湯ならテレビが設置されていたりするけど、ラジオくらいでいいと思う。水風呂がぬるければ入るし、冷たければシャワーを浴びる。

からだがふわふわしている。少し硬いバスタオルで上から下へ拭いていく。パンツを履いて体重計に乗り、見なかったことにする。

 

ロック

水分の抜けたからだに何かを流し込みたくなり、自販機に向かう。小銭を摘みながら左隅に7UPがあるのを見つける。

7UPを見るといつも出町柳のスタジオ「スー」を思い出す。スタンプカードもあったし安かったしお店の人も丁寧だけどテキトーな感じで好きだった。

学生時代、ぼくはバンドがしたかったけど組むことができなかった。結局ひとりでやり続けて、最後の最後にオールナイトロングスというバンドを組んだ。最後のワガママのつもりで声をかけたら、みんな最後のワガママだと思って頷いてくれたんだと思う。

オールナイトロングスのスタジオは主にスーだった。ロビーでタバコを吸いながらみんなが集まるのを待ったり待たせたりした。

ぼくはボーカルだった。自分のことは棚に上げてみんなに自分でもよく分からない抽象的な注文をいっぱい出して困らせた。せめて一生懸命がなり歌うので1時間も経つと喉がガラガラになり、休憩を取ることになる。Lスタジオを出ると目の前に自販機があった。7UPを買って一口飲むと、炭酸がタバコと埃で傷ついた喉に焼けついて、イタ気持ち良かった。金のない奴にねだられ、一口くれてやる。

バンドは面白い。鬼滅の刃より面白い。読み物じゃないけれど、くだらないことばっかり言ってたけど、ほかの誰も救わないけど、ずっとぼくは覚えてる。

人生であと何回かは「バンドやろうぜ」と言わなければならないと思っている。